ちょっと色々忙しくてお休みしていたが、ブログ復帰しようと思う。
団地で子供が集まれば、野球かサッカーだった。今考えればよくこんなところでスポーツしたよね。って思うような石だらけの空き地で。
貧乏人の子ばっかりが集まることがあり、サッカーボールもなければ、バットもない。そんなことが多々あった。いやいや、子供用のプラスチックのバットなんか100円ショップで売ってるだろ?と思った方は若いんだろうな。
当時100円ショップなど存在せず、100円均一という名前でスーパーの軒先で間借りした業者がくだらない10円くらいのものを100円で売っていた。そんな催事が今の100円ショップである。小銭入れやら文房具、台所用品、そんなものしかない。おもちゃどころかバットなど売っているわけもなかった。いや、売っていたらおやつ1日ガマンして買っていただろう。
何も持っていない子たちが何をするか。かくれんぼである。団地という空間はかくれんぼには最適である。そこ入る?って思うようなところでも団地の子は平気で入る。かつ立体的に使う。
たとえば団地には倉庫があった。コンクリートで固められた横長のガチガチの倉庫だ。100人どころか何千人乗っても大丈夫である。そしてそこに上る。伏せる。これで下からは見えない。そんな感じで立体的にかくれんぼが出来た。
隠れていると草で囲いを作ったり、幼稚な建築物ができあがる。そうなると次は秘密基地作ろうぜ。ってことになる。俺たちはゴミ捨て場から“建築材料”を持っては森に入っていった。
じゅうたんを森に敷く。汚いじゅうたんだ。それを床として誰かが持ってきたブルーシートで屋根を作る。30分もしないうちに崩れる。爆笑する。その声が響き渡ると、おもろがって大声を出し始める。「おちんちん」や「ウンコ」がこだまする。
木が必要となっても、森は意外に管理されており、ちょうどいい木は落ちていない。そんな時は細い木に登り揺らす。木が倒れる。悪い子供である。
ちょうどそんなとき、友達が子犬をもらってきた。生まれて間もない柴犬だ。今でこそ犬の譲渡は割と厳しいが、当時の田舎では何の罪悪感もなく犬の受け渡しがあったりした。だから野良犬も多かった。
「秘密基地で飼おうぜ!」
誰一人心配もしなければ文句も言わない。餌は残してきた給食で何とかなりそうな気がした。牛乳と食パン。犬は喜んで食べたが、カレーの日とかソフト麺の日はどうする?とか、要らない心配をしだす奴がいた。
突然強い雨が降ってきた。当時秋はもう寒かった。秘密基地はそのままにして団地に走って戻る。団地だから犬など飼えない。あのコンクリ倉庫は部屋ごとに一つあったので、開いている家の倉庫を第2の秘密基地として、犬はそこで飼おうと決めた。倉庫の中はコンクリートで囲まれているのでわりと温かく、誰かが懐中電灯とテーブルを持ってきてくれたおかげで快適だった。
「家じゃん!」
興奮したヒデが言った。いや、倉庫だ。
その時、突然窓のない倉庫に漂う匂い。
「誰か、屁こいた?」
全員否定する。
「あ!コイツうんこした!!」
犬がウンコしたのだ。
餌をやって可愛がるだけの子供に、糞尿の処理は無理だ。俺たちは一気に冷めてしまった。
「親に見つかるし、明日返そう」
全員意見が一致した。
しかし親にはあっさりバレることになる。
夜、犬が倉庫の中で鳴きまくったのだ。もちろん全員家で各々怒られた。
