ふぁみこんせだいのいろいろ

のうみそのなかみ

ファミコン 昭和

衝撃的だったポートピア

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小学6年生の時だった。ドラゴンバスターというゲームが面白いから見に来てみないか?と言われ、秋山君という友達の家に4人ほどの友人と遊びに行った。秋山君はゲームが上手く特にアクションゲームやシューティングが得意だった。秋山君の華麗なプレーやら別の友人が1機やらせてくれとワイワイやっているのを俺はおとなしく見ていた。俺はアクションゲームが苦手だったので、入る隙も無くちょっと飽きてきていた。

そのとき俺の目の中に一つの黒いソフトが目に入った。
『ポートピア連続殺人事件』。
「これ、何?」
俺はゲームオーバーになったのを見計らって秋山君に聞いた。
「あ、それ。つまんないよ?」
一緒に来ていた友人が言った。しかし俺にはつまらないように見えなかった。むしろやりたい。ドラゴンバスターよりこっちがやりたい。竜の退治よりよっぽど犯人捜しがしたかった。秋山君がドラゴンバスターを続ける中、俺のポートピア連続殺人事件への思いは膨らんで行った。

当時、俺はゲームブックが大好きだった。ゲームブックとは本である。普通の小説の様に読んで行くのだがストーリーを読んで行くうちに選択肢があり、その選択肢のページに進んで行くといろいろなストーリーが展開される。もっともゲームオーバーになるのが嫌なので分岐点を指で抑えておいて、都合のいい方に進むのだが・・・。
 余談だが、ゲームブックにはちょっとエッチな物もあり、実写のお姉さんのムフフな写真が見られるようなゲームブックも存在していた。小6の俺はその本が欲しくてしょうが無かったのだが、結局手に取るのが精一杯で勇気が無くて買うことができなかった。
 そんなゲームブックで特に好きだったのがミステリーもの。そう、ここにあるポートピア連続殺人事件は、まさにそれなんじゃないのか?俺はみんながワイワイ楽しくやってるゲームに割り込んで言った。
「ちょっとこれ1回やらせてくれない?」

いいよ。
思わぬ返事が返ってきて俺は少しだけ面食らったのを覚えている。
「それ、文字読んで面倒なだけだぜ」
ファミコンで文字が出てくる。なんて素晴らしい。
ウェウウェウウェウウェウ!
タッタッタッタッタッタ。
サイレンの音が鳴り、ポートピアれんぞくさつじんじけん。とおそらくタイプライターで打ち込んだ様な音とともに画面に表示された。決して上手に見えない男の絵。そして直線で描かれた町。そして子供の描く絵の様な太陽。チープ画面が出てきたが、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。これはやばい。絶対面白い。

こんなオープニングが流れていた。

部下のヤスを操り、事件現場で捜査をする。
「額縁外してみ。ボタン出てきたら叩くんだよ」
さっき面白くないだの、面倒だの言っていた友人がお節介にネタバレしてくれる。でもそんなことはどうでも良かった。今では当たり前だが当時は見たことも無いような真新しいシステム。反射神経が無くても練習しなくても遊べるアドベンチャーゲーム。そのどれもが俺にはとても新鮮だった。
ボタンを叩くとそこは地下迷路だった。行けども行けどもどこへもたどり着くことはできない。難しい。もっとやりたい。でも友人たちは次第に飽きて来てしまい、俺は嘘をついた。
「やっぱり面白くないね」
本当はすげえ面白かったんだ。でも俺だけ一人で30分近く遊んでしまった。申し訳ない気持ちが勝ってしまったのだ。
「あれゴールに金庫があるんだぜ」
またしてもネタバレしてくる友人。こいつは本当に・・・。

翌日、俺は親に頼み込んで本屋にいた。ポートピア連続殺人事件の攻略本を手にしていた。別に攻略したかったんじゃない。どういうゲームなのか、この先何が起こるのかを知りたかったのだ。昔は今みたいに子供がみんな本体とカセット(カード)を持っているなんて時代じゃなかった。本体は持っていないけど、カセットだけ持ってるやつ。本体もカセットも無いのに攻略本は持ってるやつ。団地にはいろんな奴がいた。

ちなみに俺がこのポートピアをクリアしたのはそれから8年後。予備校生の頃だ。もうスーパーファミコンすら出ていた頃。中古で480円で買ったポートピアをクリアした。ついでに、「もんすたあ さぷらいずど ゆう」の意味も理解できるようになっていた。

サポートセンターで記事を発見。ネタだよね?

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